関空〜名古屋線

前にちらっと書いた路線。開設されてからまだ1年ちょっとだが、今月末で早くも廃止される。あまりにもターゲットが謎なこの路線について少し掘り下げてみる。
ダイヤは1日2往復、停留所は関空第1ターミナルと名鉄バスセンターのみのノンストップで所要時間は3時間20分。名鉄バスセンター発着だが名鉄バスは運行せず、関西空港交通南海バスの運行で事実上関空側事業者の単独運行。だがダイヤは関空11時15分・19時15分発、名鉄BC7時40分・17時10分発と、単独運行にありがちな極端なダイヤではなくどちら側からも使えないこともない時刻。但し個々の飛行機の接続には考慮していないので、2往復しかないこともあり柔軟性には欠ける。
運賃は片道4800円、往復8000円。往復券は飛行機利用を考慮してなのか、一般的なバスの往復券は長くても往路乗車から10日有効なのが当路線は30日も有効。片道運賃に100円プラスするだけで、関空から30分間隔で運行している和歌山方面へのリムジンバスに乗り継ぎが出来るが、名古屋〜和歌山なんて関空以上に需要があるようには見えない。空港リムジンバスでありながら往復とも全席指定制で、予約は名鉄バス運営のハイウェイバスドットコムで取り扱う。


次に鉄道で移動する場合、以下は名古屋→関空方向を想定して試算。新幹線とはるかだと、いずれも自由席なら所要時間2時間以内で運賃7610円+新大阪での乗り継ぎ1回。はるかを関空快速に代えるとほぼ2時間で7190円だが、新大阪に加え大阪でも乗り継ぎが必要。御堂筋線+南海に代えると、同じくほぼ2時間ながら7030円になり、御堂筋線ではなく環状線新今宮で乗り換えると更に安く6970円になるが、乗り継ぎ回数は増える(御堂筋線経由は新大阪・難波の2回、環状線経由は新大阪・大阪・新今宮の3回)。
新幹線ではなく近鉄特急を利用した場合、鶴橋乗り継ぎで天王寺から先をはるかにすると約3時間5970円・乗り継ぎ2回。天王寺から先を関空快速に代えても同じ3時間ながら5320円になる。これはどちらも30分に1便しかない近鉄特急とはるかとの接続があまり良くないため。阪和線ではなく南海空港急行にすると3時間強で5180円、こちらは難波での乗り継ぎになる。
尚、南海のラピートはどのルートでもはるかより運賃が高くなるため省略。いずれも金券屋を併用すると更に安くなる。


これらを考慮すると、一番早い新幹線+はるかはバスより1時間以上早いが、3000円近く差があるため、1時間を3000円で買うと考えるとかなり高い。新大阪〜関空を他に代えても、近鉄特急経由に比べやはり1000円は差がつく。
バスに最も対抗出来るのは近鉄特急+南海。乗り換えが必要だが1回で済み、バスとそこまで時間は変わらないし運賃差額は400円程度、ダイヤも近鉄特急は30分に1便・空港急行は15〜20分に1便と時間帯も選べ、よく止まる阪和線に比べると南海線は幾分正確。バスは渋滞頻発地帯である東名阪道を通るので定時性の面から少々気がかりだが、それを見越してか元々かなり余裕を持たせているダイヤの模様なので実は時間面では意外といい勝負だったり。尤も、このバスの利用者はよその乗車記を見る限り毎回片手で数えられる程度、それこそタクシーで事足りる数しかいないため、例え鉄道であってもこんな区間を移動する人が果たしているのかどうか…せいぜいそこまでしてまでLCCに乗りたいような人くらいだろう。