SV・その31


【ガケガニ】(岩)
岩壁のヌシ。崖の上に生息するという設定で、生息地にも岩壁にくっつくと明記されているが、壁に貼りついているのはヌシのみであり、他は普通に通路をうろついている。南3という序盤で出てくる上、そのでかさにまず圧倒される。蟹なのに赤いほっぺがチャームポイント。黒い部分は毛で、崖と毛ガニをかけたネーミング。陸棲の蟹なのに、タマゴグループは何故か水中扱い。
能力は攻撃100・防御115となっており、進化しない単発個体故に序盤に捕まえられる種類としてはかなり高性能。一方、高い防御力を発揮する殻がありながら、特防は防御の半分以下の55しかない。特攻も35しかないため、攻撃は攻めるも受けるも完全に物理専門。
特性は急所に被弾しなくなる「シェルアーマー」、隠し特性が交代で自動回復する「さいせいりょく」、そしてもう一つの通常特性が新特性「いかりのこうら」。自分のHPが半分以上=HPゲージが緑の時に、敵の攻撃で半分以下まで減らされると、防御特防が1段階下がり、攻撃特攻素早さが1段階上がる。あくまで敵の攻撃で減らされた場合にのみ適用され、状態異常・砂嵐・持ち物でのダメージでは無効。特殊攻撃に更に弱くなり、特攻を上げられてもほぼ無意味だが、ダメージを受けるだけで攻撃と素早さを上げられるのは中々便利。しかしこの特性の一番厄介なところは、発動するたびに1つずつメッセージが表示される。とにかく時間がかかり、戦闘アニメーションも切れなければ戦闘中のメッセージ速度も変えられないSVとの相性は最悪。
蟹だけに、「はさむ」「ハサミギロチン」とタマゴ技で「クラブハンマー」を覚える。自力の岩技は威力75の「いわなだれ」止まりであり、「ストーンエッジ」は技マシンで覚えさせる必要がある。自力で「てっぺき」、技マシンで「つるぎのまい」も覚えるので積むには問題ない。爪を使っての「かわらわり」もこなす。
尚、マリナードタウンの競りに、頻繁に「ガケガニスティック」なる食材が出品される。説明によると、脱皮した殻をエキスを配合しているとのこと。今作のポケモンはやたらと食用にされる。



【スコヴィラン】(草・炎)
双頭のハバネロ。初代のドードーからチェリンボジヘッドバイバニラと受け継がれてきた双頭枠。本来相反する草と炎という組み合わせは、作りにくいのかこれまで一つも存在しなかったが、辛さを炎に変えるという能力を採用した結果、史上初の草と炎の複合タイプが実現した。これにより弱点は草と炎それぞれの弱点よりも大幅に減らすことに成功。赤(レッドヘッド)が辛さから変換した炎を吐きまくり、緑(グリーンヘッド)が直接攻撃を担当。
種族値は攻撃・特攻ともに108。頭が2つあることでどちらの攻撃でもいける模様。他は65~75と少し控えめ。特性は、ひでり状態で素早さが2倍になる「ようりょくそ」、眠らなくなる「ふみん」、隠れ特性で毎ターン終了時に何かのステータス1つが2段階上がって、もう一つが1段階下がる「ムラっけ」。通常特性は両方とも時々見かけるが、ムラっ気は今作では他にユキワラシオニゴーリのみ、過去作でも彼含め全8体しか持っておらず、8体全員が隠れ特性。それくらい強力。
専用技は彼にぴったり「ハバネロエキス」。相手の攻撃を2段階上げるが防御を2段階下げる。辛い物を食べて暴れる様でも再現したのだろうか。メリットもデメリットもあるので上級者向けの技といえる。レベルアップの技は、草と炎を交互に覚えつつ、これもイメージ通りな「かみつく」「かみくだく」も覚える。当然「にほんばれ」も覚えるので、葉緑素発動や溜め無し「ソーラービーム」・「せいちょう」の2段階アップ化も簡単。タマゴ技の「なやみのタネ」で相手の特性を変えることもできる。
珍しく英語名も日本名と同じScovillain。辛さを示すスコヴィル値と、悪役を表すヴィランを掛け合わせている。もしタイプが3つ複合が可能なら悪タイプが入っていただろう。



【ベラカス】(虫・エスパー)
進化前のシガロコはただのフンコロガシだったが、進化すると何故か空中浮遊。赤ん坊が入っているという不気味な生命体を転がしている、進化形随一の気味悪さ。図鑑の文に矛盾があり、スカーレット分は体が殆ど動かないと書きつつ、バイオレット分は脚で玉を回して赤ん坊をあやすとある。進化はこれもまた1000歩の連れ歩き。そのよく分からない名前は、シガロコ共々、スカラベを逆から読んだだけという超安直なネーミング。英語名のRabscaも同じ。逆さ読みでの命名自体は昔からあり、古くは初代のアーボックまで遡る(COBRA→ARBOC)。
シガロコとかなり性質が変わったため、シガロコの頃は攻撃が最も高かったが、進化すると逆転して、全く変わらない攻撃を差し置いて特攻と特防が100超えの特殊攻撃派になる。虫単一だったシガロコに比べ、タイプ相性により弱点がかなり多く、2倍弱点が6タイプもある。特性は、通常が自身の状態異常を写す「シンクロ」、隠れ特性ダブルバトル専用で相方からのダメージを受けない「テレパシー」。どちらも発動するシチュエーションが限られる。
彼もパーモット同様、蘇生技「さいきのいのり」を進化時に覚える。これはスカラベ古代エジプトで復活・再生の象徴として崇められていた故事に由来する。再生の方はタマゴ技で「じこさいせい」もしっかり覚える。「スピードスワップ」「ガードスワップ」「パワースワップ」「トリックルーム」「スキルスワップ」「じこあんじ」で敵のステータスを攪乱させる戦法が得意。テレパシー特性に蘇生、味方の状態異常を防ぐ「しんぴのまもり」でダブルバトルでも使える。



【クエスパトラ】(エスパー)
クレオパトラの首がついたダチョウ。進化前のヒラヒナは文字通りのヒラヒラだったのに、何故こうなったのか。木の実を奪われると復讐するヒラヒナ譲りの気性の荒さ。
最高時速200kmという足の速さがステータスにも反映されており、素早さは最も高い105。実際のダチョウもここまでではないが、最高時速70kmと巨体に関わらず速い。攻撃は60しかない反面、特攻は101あり、エスパータイプでよく見る特殊攻撃派。
新特性「びんじょう」は、相手のステータス上昇に合わせて自分の能力も上げる。強力ではあるが、もう一つの特性「おみとおし」は出現時にすぐメッセージが出るため、相手の持ち物は分かるがこちらの特性もバレてしまう。隠れ特性「かそく」も強いが、毎ターン必ずメッセージと共に素早さが上がるため、これも出ないとなると消去法で便乗だとバレてしまう。バレはするが、相手も積めなくなるのでそれはそれで便利。
専用技「ルミナコリジョン」。威力80のエスパー特殊技で、普通に主力で使える技でありながら、相手の特防を確実に2段階下げる。追加効果で100%確実に2段階下げる技は、これまでは同じく特防の「アシッドボム」のみ。しかもこの技は代償として威力40しかないため、ルミナコリジョンがいかに反則級なのかが分かる。元々素早いのに「こうそくいどう」も覚えるので、先制でこれを連打することも可。ダチョウは飛べないので飛行タイプは付かないが、一応鳥ポケということで、飛行タイプの技自体はくちばし系で色々覚え、非飛行タイプでは数少ない「はねやすめ」の使い手でもある。
キョジオーン共々、ロックマンシリーズのコミカライズで知られる漫画家・ありがひとし氏によってデザインされた。ポケモンで手掛けた他の作品はクワガノンギルガルド・アーマーガア・オオニューラなど。尚、ヒラヒナのデザイン担当は氏ではなく別人。