京阪バスの定期観光用二階建てバス「グランパノラマ」。本日を以て引退ということで、京都駅の定期観光バス乗り場では展示会が行われ、多くの人が見物していた。長らく定期観光コースの中でも最も所用時間が長い「京の一日」コースに専属されていたため、そう手軽に乗れる車ではなかった。
車両は93年式ふそうエアロキング、当時の3軸スーパーハイデッカー・エアロクィーンWの改造扱いであるため、型式は「U-MU525TA改」と改が付く。同型車はかつて全国で見られたものの、大手事業者所有の分は00年代前半までに大半が廃車、中小の観光バス会社に中古で売られたものの、その移籍先でも廃車が進んでおり、未だにワンオーナー、しかも京阪バスほどの大手が所有している例は非常に珍しい*1。検索しても古い写真か中小に移籍後の写真しか出てこないので、この型のエアロキングでワンオーナーというのはもしかするとこれが最後のタマなのかもしれない。ちなみに京阪バス全体の中でも既に最古参、京都市内を走るバスの中でも相当古い部類に入る。
バンパーの真ん中にナンバーが収まったフロントマスク。当時のエアロキングのフロントマスクは、旧型と同じ初代エアロバスを模したオリジナル版と、当時の大ヒットモデルであるエアロクィーンMを模したオプション版の2つの顔から選べたが、オプション版は目新しさの他に社名・行き先表示が付けられるということで殆どがこちらを選び、古くさいオリジナル版をわざわざ選んだのはこの京阪バスくらいで、ある意味珍車ともいえる。どうやらこれ以前に導入した旧型のエアロキングと顔を揃えるためらしい。
サイドビュー。個人的に気になったのが、2階席後方の窓際にあるエアコン用ダクトがわざわざ透明の樹脂になっていること(茶色い部分)。外が見られるための配慮と思うのだが、なら何故色をつけたのだろう。尚、のちのエアロキングではこんな処理はされずただの太い柱になってしまった。