撮影写真より


車ネタ。
トヨタ86に設定されていたグレード「RC」。レーシングカーやラリーカー、チューニングカーの元となる、競技用ベース車と呼ばれるグレード。普通の86と違い、前後バンパー・ドアハンドル・サイドミラーは無塗装なので樹脂が丸出し、ホイールもやはり無塗装の鉄ホイールで、小さなセンターキャップが付くだけという、まるで商用車のようなみすぼらしさ。ちなみにサイドミラーは電動格納機能すら無く、それこそ商用車のように手で畳む。



トランクを開けるとカーペットは無くボディが丸出しで隙間だらけ。作りかけのようにしか見えないがこれが仕様。



車内は他のグレードならシート素材が選べたり赤いワンポイントが入ったりするが、RCは黒一色。一番目立つのが、インパネとオーディオ/ナビ部分のカバーが無く中が丸見え。オーディオレスの場合他の車種だと蓋が付くが、RCはコスト削減か軽量化なのかそれすらも無く、これもトランク同様作りかけにしか見えないがこれで完成の状態。更にエアコンはヒーターだけでクーラーが無く、オプションにも無いため最初から付けることすら出来ない。トランスミッションは当然ながらATなんて無く6MTのみ、真っ黒な内装と相まって夏場の運転は地獄と化す。



86はデビュー当初、200万円台で買えるという触れ込みだったが、蓋を開けると200万ちょっとで買える86というのはこんなにも安っぽい仕様だった。レースの他チューニングを行う場合もバンパーやホイールなどは真っ先に交換されるため、そのままでも走れる最低限の仕様としてここまでチープになっている。RCはまさに弄ってナンボのグレードだが、そのスパルタンさに惚れた一部のマニアの中には敢えてノーマルのまま乗っているユーザーがいる。
見た目こそチープだが、ブレーキを除く足回りとエンジンは他のグレードと共通、ボディカラーも他車種の競技用ベースグレードは白のみが多い中、RCは全てのカラーから選ぶことができ、イメージカラーのオレンジも選択することが出来た。
しかしオプションは殆ど選択出来ず、せいぜいスペアタイヤとETC車載器くらいしかない。寧ろ省かれている装備の方が多く、上記のクーラーの他スピーカーも無いためオーディオやナビも付けられず、カップホルダーもドアにしか無い。見えないところではエンジンカバー部分の飾りも無い。その代わり全グレード中最も軽く仕上がっており運動性能は高い(最も重いGTのAT装備車に比べマイナス60kg)。
ちゃんとエアコンもオーディオも付けられバンパーも塗装されているまともなグレード「G」はRCからプラス50万、色々装備が付いた上級グレード「GT」はプラス80万とどちらもかなり差があり、GTは諸費用込みだと結局300万を超える。86は一応若者をターゲットにしていたようだが、この値段設定の結果主な購買層は結局金がある中年層辺りだという。


このRC、4月に行われる一部改良でのカタログ落ちに伴い生産を終了することが決まっており、トヨタ公式サイトからも既にRCは消えている。86自体はそこそこ売れているので、その中でのグレード整理ということはどうやらRCはよほど売れなかったらしい。