県名の新常用漢字

常用漢字の中に県名に使われているため使用頻度が多い11字が入れられることが了承された。でもこれらの漢字、人名地名以外の用途がまるでない、あっても難解な意味を持つような字ばかり。だからこそ人名・常用外として一般の漢字としては外されていたわけだが…。
「埼」は「崎」とほぼ同じ読みを持つ。使い分けとしては「埼」が岬のように突出した陸地、「崎」が山の突出した部分という解釈だが、今はほぼどちらも「崎」で片付けられている。「坂」と「阪」は読みも意味も全く同じ同音同義語。そもそも元々「大坂」だったのに字をわざわざ変えたかという理由が「坂」という字が「士が反く」みたいに縁起が悪いから。「岡」は人名でも頻出の漢字だが、熟語としては「丘」があるため用いられることは少ない。更に同時に常用漢字に選ばれた「阜」も同義語で訓読みでは「おか」になる。尚、見ただけでは絶対分からないが「阜」という字の部首は「阪」のこざとへん(漢字で書くと阜偏)。「媛」も「姫」と同義語だが、こちらは愛媛と日本神話以外では人名としても地名としても使用頻度が少ない漢字。
独立した意味を持つ字もあることはある。「鹿」「熊」「梨」の意味は幼稚園児でも分かるから敷居としては低い漢字に当たる。「栃」は文字通りとちの木のことだが、けやきとかに比べるといまいちマイナーな存在。「茨」はとげがある木のことで、特にバラのことを指す。そもそも「薔薇」という名称自体がいばらという語から来ている。地名の他に比較的人名にもよく使われる「奈」はりんごの果樹のような意味があるが、その反面、如何せんとかどうしようというような人名にはあまり相応しくない意味も持つ。これは前者の意味を持たせていることもあれば、「な」と読む漢字が少ない故に単なる当て字に過ぎない。奈良の由来も平坦な土地をならすというところから来ているため漢字としてはやはりただの当て字。


常用漢字自体は更に数十字増やすらしく、もう一つ常用とまではいかないが使用頻度がある字を準常用として区切るらしい。個人的には実は常用外の「誰」とかが入りそうな予感。