2021年、パンデミックで大赤字になった交通各社は、少しでも経費を削るためICカードの割引サービスの縮小・廃止を大々的に敢行。定期券以外の割引が一切存在しない事業者まで出始めた。少し調べただけでもこれだけある。もしかしたらまだあるかもしれない。
この他、2022年はJR東日本沿線である北関東・東北で、先行した宇都宮・岩手県交通に続き、Suicaのシステムを流用した地域連携ICカードが各地のバスで導入されるが、いずれも割引はポイント制、且つ付与率は10%即時還元が基本だった磁気カード・紙回数券と比べ2~3%と大きく下がり、昼間割引も無いが、中身はSuicaそのものなので、電子マネー対応で全国相互利用対応。
- 新潟交通(りゅーと)
- 乗車時ポイント付与率10~20%→0%
基本ポイントと称する、チャージ時のプレミアム額に代わるもの。平日10%・土日20%だったが一律0となり、今後付与されるのは2000円ごとに追加されるボーナスポイントのみ。最大でも月1万円利用で600ポイント=6%還元となり、一切0になるかはましになる程度。
国際興業が先陣を切って廃止を表明した際は大きな話題となったが、その後次々に追随。事実上の本丸とも言える都営バスすら廃止に踏み切った。現在も実施しているのは、関越交通・関鉄グループ・日立自動車交通のみ。今年から新たにPASMOを導入する東海バスは当初からバス特非対応。
- 静鉄電車・しずてつジャストライン(LuLuCa)
- ポイント付与率5%→1%
運賃100円毎に5ポイントだったのが1ポイントに大幅減。LuLuCaポイントは買い物でも貯まり、寧ろこちらがポイント稼ぎのメインと思われるが、今回買い物ポイントについては変更なし。
- 遠州鉄道(ナイスパス)
- チャージ時プレミアム額還元率10~13%→0%
一度に8000円以上チャージすると還元率が上がったが、これらもまとめて一気に0になった。今後は、自社が発行するクレジットカードに紐付けることでクレジットカードへのポイント付与は継続するものの、元々乗り継ぎ割引も無く電子マネーとしても使えないことから、利用価値が殆ど無くなってしまった。公式サイトでも、継続的に利用するなら定期券を買った方が得と書かれる始末。
- 北陸鉄道(ICa)
- チャージ時プレミアム額還元率10%→0%
金沢地区では紙の回数券も同時に廃止。元々非導入の加賀・能登地区では回数券は続投するが、金沢地区では使えなくなった。
尚、北鉄ではプレミアム額還元と並行してポイント制「エコポイントサービス」も導入しており、こちらは続投するものの、運賃額1%付与・還元は100ポイント単位・有効期間1年と、プレミアム額よりも大きく見劣りする。
manacaマイレージポイント対応事業者では唯一1回目の乗車から付与対象だったが、無意味なくらいに減らされた。元々月2000円以上利用しないと付与の対象にならない名鉄電車や名古屋市交通局では変更なし。
月に最低10回以上乗車で1%・最大40回以上で5%の付与から、11回以上で1%固定に変更。こちらも割引目的での意義が大きく削がれた。子会社の豊鉄バスでは未だにICカード非対応、その癖昼間回数券は廃止する始末。
導入当初はチャージ時のプレミアム額還元で、昼間割引で最大40%と非常に高い還元率だったが、途中から名鉄バスのmanacaと全くの同一の、ポイント制且つ一律2%と大幅に減らされた。今回これも無くなり、最早乗り継ぎ割引くらいしか割引が利かなくなった。その癖、相変わらず親会社であるはずの名鉄のmanacaは使えない。
- 三重交通(emica)
- ポイント付与率5~12%→1~5%
元々は月3000円以上の利用で付与率が10%を超え、以前のバスカード相当となっていたが、半分以下に激減。最大の5%は月15000円以上の利用が必要。
普通枠が11~17%だったのが5%固定に、昼間割引のひまわり枠が22%から15%に減額。特に普通枠はチャージ額によるプレミアム額還元率の増加が無くなったため、5000円チャージの還元率の落ち込みが3分の1以下と大きい。
- PiTaPa
- 利用額割引廃止
月約2000円以上の利用で、利用額・事業者によって多少変化するが概ね5~10%還元されるサービス。三重交通・京都市バス・尼崎交通事業振興・阪急バス・阪神バス・神鉄バスといった辺りが相次いで終了を発表。
- 神姫バス(NicoPa)
- 土日祝の徳用の利用時間、終日→9~16時降車時
徳用は昼間割引に相当。元々土日祝は終日利用可能だったが、平日と同一の時間制限をかけた。判定は降車時なので乗車時刻に注意。土日の各種昼間割引に時間制限をかける事例は殆ど無かったが、今後広がるものと思われる。
nimocaポイント対応事業者のうち、発行元である西鉄本体と子会社の筑豊電鉄は先駆けてポイント付与をボーナスポイント含め廃止。但し元々かつての磁気カードに比べると微々たるものだった。その後、大分バス・大分交通・亀の井バス・日田バス・九州急行バス・松浦鉄道・西肥バス・させぼバス・熊本市電、更にJR九州バスと、西鉄グループ外・福岡県外でも追随。これ以外の事業者は現在もポイント付与を実施しているが、いつ止めるかは不透明。