地図より


三重県紀宝町鵜殿地区。大合併前は鵜殿村という独立した自治体だった。三重県最南端、その角の僅かな部分に張り付くように存在した、当時日本一狭い村。この地図でいうところの国道42号線バイパスの南側・矢渕中学の東側がかつての村。面積2.88平方キロ、よく言う東京ドーム換算だと61個分。よく数百個分の山林とか聞くが、それよりもうんと狭い。狭すぎて大字が無く、今でも住所は全域が鵜殿〇番地。住所から地図を参照しようとすると、鵜殿のあとに大量の番地がずらずら並んでいる。
一見はとんでもなく田舎だが、熊野川にある県境を挟み、南紀でも大きい都市である和歌山県新宮市がすぐ対岸にあるのと、航空写真で存在感を見せる北越コーポレーションの製紙工場があるので、そこまで田舎でもない。この工場からの税収があったからこそ、平成まで村単独で生き延びることができた。