撮影写真より


近代建築シリーズ・小林一三記念館「雅俗山荘」。阪急電鉄宝塚歌劇団ほかグループの実質的創業者兼茶人の小林一三の旧邸を改装した記念館。
旧邸そのものは、様々な画期的事業を発案した経営者にしては意外に質素で、寧ろ庭園に3つも(うち1つは死後移築)茶室があることの方が印象的。2階にある自身のコレクション等の展示室の隣は当時の居住スペースとなっており、書斎から和室、何故か風呂と便所まで土足のままズケズケと入って見学できるので、何だか畏れ多い。1階の方はテラスを転用したレストランになっており、広い庭園を一望できる。
そんな本日は小林一三の命日。この山荘では追悼の茶会が開かれたほか、かつて宝塚では区切りの命日にスペシャルイベント「逸翁デー」を開催していた。4年前の50回忌の時点で終了したが、その時の模様が宝塚専門CS放送「TAKARAZUKA SKY STAGE」で今日も放映されている。そのフィナーレで歌われる曲に小林一三のことを歌った「逸翁賛歌」という曲があるのだが、これの内容が酷い。まるで宗教の開祖でもあるかのようにとことん祭り上げた内容で、その上文章にそのまま曲をつけているかの様で歌になってない。それを宝塚ならではのあの声で、それも全生徒が歌うもんだから何だか申し訳ない。この歌なのかもよく分からないブツを作ったのは公文健こと、阪急の3代目当主・小林公平(一三の孫ではなく孫の婿養子)。あまり作詞のセンスがないのか、他に詞を手がけた曲もあまり良い声を聞かない。当の本人も宝塚は寵愛したもののそれ以外については、特に宝塚と共に手放すなと言われていたブレーブスをあっさり手放したので、ヅカ・野球どちらのファンからもあまり快くは思われていなかった模様。
この小林公平邸、実は記念館のすぐ隣にある。記念館の庭園の隅に小さく簡素な門があり、どう見ても隣の敷地と一体化しているため思わず入りそうになったが、この門の向こうが公平邸。無論こちらの家も創業者一族だけに結構でかい。だが公平は昨年死去しているため、現在は夫人あたりが住んでいるものと思われる。